歯列をなぞる舌の動きに背筋が伸びる。逃げれば絡め捕られる熱く生々しい舌の感触が、妙に心地良い。
室内には、私と三浦さんの熱い吐息とリップ音。
「…すみれ、」
「…、」
「ベッド、行きませんか。」
返事は返さなかった。けど、三浦さんの首に腕を回すことで私は同意を伝える。
溺れたって、騙されたって構わないと思った。
これが、失敗だったんだろうけど。
それからは、幾度となく身体を重ねた。
それと共に、唇も。
―――とんでもない人を好きになってしまったんだということは、それから数ヶ月もしない内に嫌でも理解したけどね。


