「…煙たいです。」
「んー…、慣れて。」
「……。」
煙草を捨てる素振りさえ見せなければ、慣れてくれ、なんて。やめる気はさらさらないようだ。
睨んだ時点で効果無し、という結果は今までの経験で分かりきっているからそれをやるなんてことはしない。
という大人な考えは出来ず、ガッツリ睨んでスルーされて終わりだ。
「俺の部屋行くよ。」
「…はい。」
若干拗ね気味に頷いた私の耳に、くすくすと笑みの漏れる音が聞こえたけれど三浦さんの方は見なかった。
今きっと、三浦さんは意地の悪い顔をしているに決まってるもの。
見ない、と一度は決めたものの私の決心は大分緩い。盗み見た三浦さんの横顔、口角は薄く引き上がり。
ああ、やはり。
なんて、趣味の悪い笑い方をするんだろうか。なんて、ちょっとした悔し紛れだ。


