電話口では巧く誤魔化したが、実際私の頭の中は三浦さんの言葉に疑惑を浮かべていた。
今、会社を出たって……。貴方さっき、いたじゃないですか。
……嗚呼、これは嘘かもしれない。
その後も一言二言会話を交わし私は電話を切った。あれを見てしまえば三浦さんの言葉にはすべて疑いをかけてしまう。
信じれない。とは言っても元々私達の間にば信頼゙なんていうものは成り立っていなかったのかもしれないが。
数分後、プッ!とクラクションが鳴らされ。三浦さんの黒い車が私の前に横付けされた。
助手席に乗り込むと、濃い煙草とシトラスの香りに包まれる。チラリ、視線を運転席に座る三浦さんへと送ればやはり。
細く長い指には煙草が挟まれていた。


