囚われジョーカー【完】





――――着信:三浦さん



まだ、あの女の人と居るんじゃないかとか色々考えたけど。指が自然に通話ボタンを押し携帯を耳に押し当てていた。



「……はい…。」

“あ、菫?お前今どこいんの。”

「外です。」

“それは分かってるけどな。大学?”

「いえ、街の大通りです。」




電話越しの三浦さんの声はいつも通りすぎて、やっぱりさっきのは気のせいだったのかもなんて思ったけれど。


そんな都合の良いようには転がらないのは分かっている。






三浦さんはただ単に、この状況に慣れているんだろう。


だって、嘘だの裏切だのいくら私が考えたとしても。三浦さんと私は付き合っていないんだからそんなの、意味は皆無。




“今、会社出たから直ぐ着く。大通りから出てきといて。”

「え……、」

“なに、どうかしたの。”