いきなり、だ。
店員さんは私の心を見抜いたように、饒舌に言の葉を紡いだのだが。
それが当たっている、と言えるもんだから次に激しく驚いたのは私の番だった。
「……、変なことを聞いてしまって、すみません。」
「ああ、お気になさらず。」
「お邪魔しました…。」
私は台の上に瓶を置くと逃げるように店を後にした。
言い当てられたことへの驚きと焦り。口から勝手に紡がれたことへの恥ずかしさが入り混じり、とてもじゃないけどあの場に店員さんと居ることは耐えられなかった。
そんな時、鞄の中から聞こえた控えめのメロディーに私は足早に回転していた足の動きを停止する。
鞄の中に手をつっこみ、手探りで捜索。それは簡単すぎるくらいに見つかった。
二つ折りのそれを開き、ディスプレイに表示される名前を見て出ることを躊躇った。


