それでも、私に向けられる笑顔には愛情はなかった。
望んでも叶うことは決してなかった。
選ばれたのは、三浦さんの愛をもらえるのは、ふわり綺麗に笑う彼女。
そんな、幸せそうな顔見たくない。私そんな顔出来ないもの。
何で?
私が、一般人でただの女子大生だから?
「……愛人じゃなくても、私、浮気相手じゃん。」
お昼に読んでいた本の内容が頭にフラッシュバックされていく。それと同時に、早くピアス開けなくちゃという訳の分からない焦燥感にも駆られた。
と。
「プレゼントですか?」
不意に、声を掛けられ勢い良く振り返って見れば。私の後ろにはにこやかに微笑みながら首を傾げる店員さん。
少し長めの髪を後ろに束ねた男の店員さんで、私の視線は耳朶に光る紫紺のピアスへと集中した。


