その言葉は本心で。前々からピアスを開けようか迷っていたからいい機会だ。


―――新しい、スタートの切っ掛けにもなるかもしれないし。



髪を切るのは、あからさますぎるし。ピアスならと思ったのだ。

…うん、そうしよう。明日大学終わりに雑貨屋に行ってピアッサー買って右耳と左耳に一つずつ。



「付けたら見せてな。」


嬉しそうに目を三日月に細め、歯を見せて笑った清水くんに私は「分かった」と微笑を浮かべ頷いた。




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清水くんから貰ったピアスは、小さな袋に入れて化粧ポーチにしまった。



大学が終わり、私は鞄から携帯を取り出し着信履歴の一番上にある名前に電話をかける。





暫く、コール音が鳴った後。


{只今、電話に出ることが出来ません。発信音の後に――…}



ブチッ、機械的な女性の声を最後まで聞くことなく終話ボタンを押す。