「なあ、菫…っ、」
「ッ、あ……、」
私がまともに返事が出来ない状態だと分かっていて呼び掛けてくるんだから、三浦さんは正真正銘のSだ。
と。
うっすら持ち上げた瞼の奥で、暗闇から少しだけ明るくなった視界。
「―――――ッ!」
目の前には、愉しげな声色とは違う。至近距離で私を見下ろす色っぽくも無表情な顔があった。
感情が上手くよみとれない三浦さんの無表情は、綺麗を通り越してやはり恐いと感じる。
「ガキ、出来たら」
お前嬉しいか?
そんな質問をぶつけてきた三浦さんは一体どうしてしまったと言うのか。
そこで、今日のこの行為に入る前。ひとつ踏んでない段階があることに私は気が付く。
「待っ…、ゴム…付けましたか?」
「……付けてねえよ?」
そう平然と言う三浦さんに私はくらり、目眩がすると同時。鈍器で頭を殴られたような鈍い痛みに襲われた。


