囚われジョーカー【完】





三浦さんは、不思議な人だと思う。



どうして自分のスーツを汚したただの喫茶店のバイトにご飯を奢るんだろうか。


見返りを期待されても、私は何も出来ないしするつもりもない。





そんなことを思って不審がっていた私の心のもやは、翌日。叔父さんの口から出てきた言葉によって殆どが晴れた。



゙あの人、三浦グループの坊ちゃんだ。゙





その言葉を聞いて、やはりあのレストランは高級店だったかと意味もなく焦った。


私だって、三浦グループという名くらい聞いたことはある。その坊ちゃんと言うことは、社長息子なのだろう。




「(…とんでもない人にとんでもない事をしてしまった。)」



まあ、もう会うことはないだろう。



……そう思っていた私の考えは甘かったらしい。






バイト終了後、店の外には車にもたれ掛かるようにして煙草を吹かす綺麗な男がいた。