昨日と同様、警戒心を露わにした私。それを見た男は困ったように眉を下げ、次にはエンジンを切り何故か車をおりた。
それを怪しげに見ていれば、隣に並ぶ男。
「じゃあ、歩くか。」
「は…?…何で。」
「何でって、乗ってくれないんだろ。じゃあ歩くしかないじゃん。」
「帰ればいいじゃないですか。」
そう言い少しずつ距離を取る私だが。男は嘲笑うかのように簡単に開いた距離を埋める。その口元には微笑。
あ、やばい――――
思えば、私の人生はあの時から狂ったのかもしれない。いや、完璧、狂った。
「乗ってくれる?」
「……、」
「俺に悪いと思うなら。」
その言葉が私の決断を渋っていた糸を切った。
まるで操られるかのように頷き、助手席に乗り込んだ私が連れて行かれたのは普通とは少し違うレストラン。


