囚われジョーカー【完】





「お前な、ちょっとぐらい煙草我慢しろよ。」

「それが出来たらとっくにしてる。」

「……重度のヘビースモーカーだな。肺ガン決定だおめでとう。」

「ありがとう嬉しい。」

「誉めてねえぞ…。」




なんだか、柔和な雰囲気を纏う男性が可哀想になってきた。


怖い人はほんの少し口角を持ち上げ、意地悪そうに笑う。その笑顔を見た瞬間、今度は《怖い》よりも《危険》を感じた。




身体を心配しているらしい柔和な男性とは打って変わって、自分の身体に興味がないらしい危険な男性は。煙草をペンの代わりにして器用に回し始める。



……綺麗な顔だし、モテそうってかモテはするんだろうけど。なんかこう他とは別って気がするんだよなあ…。




「(…感受性の問題?)」



どうせ考えても答えには辿り着かないだろうし、まずどうでもいいから考えるのは止めよう。