囚われジョーカー【完】





運悪く、お客さんはいないし。叔父さんも急用が出来て店を開けている。


―――今この店内にいるのは私達二人と厨房のスタッフさんだけ。厨房の人と話すことなんて滅多にない。第一、歳が10以上離れてる人に馴れ馴れしく話しかけれない。




つまり、私と清水くん二人と言ってしまっても過言ではないのだ。


と。

重たい沈黙の空気に耐えきれなくなったのか。清水くんが勢い良く私と向き合うように立ち、真っ直ぐの瞳で私を見下ろす。




「俺本気だから。」

「……。」

「昨日の人…三浦さん、だっけ?」



ビクッと。
その名前を聞いただけで分かりやすく身体を強ばらせてしまう。

なんだ、これ。過剰反応しすぎだろう…。



清水くんはほんのに頬を赤くしていて、緊張しているのか。私のその変化には気が付いていない様子だった。