「…ねえ、菫ちゃん。」
「……、」
優しい声の呼び掛けに、私は涙を指で拭いながら明日香さんを見る。
彼女は、少し眉尻を下げて笑いながら
「清水ちゃんのこと、一回正面から見てやってくんない？」
「…、」
「菫ちゃんのことだからそれじゃ利用とか思うかもしれないけど、それでもいいから。清水ちゃんは菫ちゃんが向き合ってくれれば嬉しいと思う。」
「…でも、」
「傷付いてる時だからこそ、ね。」
その押しに、私はもう何も言えなかった。勿論清水くんの告白を適当に流してしまおうとは思っていない。
でも、三浦さんを忘れるために彼をつかうなんて只の利用になる。そう思うと曖昧にしてしまった方がマシなのかもしれないと思ったのも事実。
でも、これ以上は。私が解決しなくちゃいけないこと。
三浦さんとは、いつかはこうなると分かっていたんだから――――――――――――…。
