「でもさ、菫ちゃんの思うようにすればいいんじゃない？」
「…、」
「菫ちゃんが言う、好きな人がどんな人なのかは分からないけど…。」
―――それでも私は、菫ちゃんのﾞ好きな人の傍にいたいﾞって思う気持ちを消しちゃ駄目だと思う。
そう、力強くも優しく笑って言う明日香さんの真っ直ぐな瞳に。
決断するときが来たのかもしれないなと思った。
何の決断？
――――選択肢の決断。
「明日香さん。」
「んー？」
「……驚かないで、聞いてくれますか？」
「……うん。」
笑顔を浮かべていた明日香さんも、私がこれから話そうとしている事実への深刻さに気付き。笑顔を消してゆっくりと頷いた。
これから私は、話そうとしている。
私が好きな人の正体を。
明日香さんの目は、信じれると思ったから。
…いや、そんなのは言い訳で。単に私がこれ以上すべてを抱え込むことへの苦しさから逃げたかったのかもしれない。
