大切なもの



しゃーないから起こしてやるか。

―――ツンツン

頬を指で突き、おーい、と囁く。
聞こえてねえな。

―――バシッ

めんどくさくなったあたしは背中に一発、殴りを入れる。


「……ん」

目、さめたかな?
バレたらちょいまずいし。


「よし、美波、ともちん行くぞ!」

バンッと椅子を蹴って、ゴンッと椅子を机の中に入れて、ガラッと扉を開ける。


上靴を下駄箱にいれ、アップシューズを取り出す。
部活動玄関まで歩いていき、靴を履いてから荷物を取り出す。



「こんにちわー」

後ろに先輩がいたので、立ち止まって頭を下げる。
これがソフト部の礼儀。


「こんにちわぁ」

ニコニコという効果音が出てきそうな笑顔で笑った。