慶太との毎日は楽しく、加奈は毎日ときめいていた。

慶太の少しのしぐさが本当に絵になるなと感心し、2人きりのときは心臓が飛び出るのではないかと言うほど胸をときめかせた。

今になれば染めていたと分かるが、当時は綺麗な薄茶色のふわふわとしていた、それもパーマだったのだと、今は分かっているけれど、とにかく綺麗に整えられた髪型にさらりと光る前髪、そこから覗くくりっとした目は誰もの心をつかみ、綺麗に伸びる鼻筋と綺麗にかたどられた唇は誰もの視線をくぎ付けにしただろう。

加奈は隣に立つそんな慶太を愛おしくも誇りにも思った。何もが完璧だった。

付き合いだしてから一月ほどでキスを交わし、また一月後に体も交わした。

早いとも遅いとも思わなかった。幸せでいっぱいだった。

慶太からの愛情を感じていたし、加奈も慶太に愛情を示したいという思いでいっぱいだった。



今でも、その時のことを思うと、体の芯があたたかくなり、加奈は自分にとってそれが暖かな思い出であることが分かる。

慶太の細くてでもどこか男の子らしい指先、自分が慶太の中で一番なんだと実感させてくれるような優しい手で、幸せだった。

むしろ一番幸せな時期だったのではないだろうか。