黒ずんだチェーン。
十字に何か石がはまっているような形のペンダントトップ。

俺に見覚えはない。
何故、俺のスペースからそれが見つかったのかも判らない。
俺が戸惑っていると、俺の後ろから、
「それですっ!」
と声があがり、俺を突き飛ばすようにして、そのネックレスに飛びついたヤツがいた。

……シュウだ。

「これです、ああ、良かった…見つかった……」
ネックレスを両手で包み込み、かき抱くようにうずくまるシュウ。
俺に背を向けたその姿に、俺はかなり戸惑っていた。

何が起こったのか、全然判らない。

訳が判らず、ただ立ちつくす俺に、上の連中がまず声をかけた。
「レイ君、君に対しての評価を下げさせて貰おう。ここでの盗みは本来なら排除ものだ。だが、今までの君の成績に免じてそれは無しにしてあげよう」
「……盗、み?」
「ここで見つけたこれは、シュウ君のものだ。彼が大切にしているのは君も知っている筈だろう。それを敢えて盗むとは……」

俺は頭をなぐられたような衝撃を覚えた。

知らない!
俺じゃない、俺は盗んでいない!

それと、もう一つ……。

俺は、自分で友だと思っていたシュウが、そんなネックレスを持っていたことを知らなかった。そんなに大切にしている物が有ることを知らなかった。

友、なのに。

友、だと思っていたのに。