十三日間

「…セリフの候補もあげてやろうか？」
僕のうなり声がなかなかやまないので、あきれかえった秀悟が言う。

僕は目の前のテーブルに突っ伏したまま、上目遣いで秀悟を見上げた。
「それは、さすがに自分で考えるから、いい……」
ぼそぼそ言うと、さらに秀悟はため息をついた。
「じゃあ、アドバイスだけな。変に凝った告白の言葉とかにするのはやめとけよ。ストレートが一番」
さすが、秀悟らしい。
「ちなみに、聞いても良ければだけど、秀悟は日高になんて言ったのさ？」
「俺？」
秀悟はニヤっと笑うと、得意げに言った。

「『俺の女になれよ』」

……………

ぼ、僕には何があっても言えないセリフだ……

さらに突っ伏した僕を見て、秀悟が言う。
「おまえにそんなセリフはムリだから。おまえらしく、自分の気持ちを言えればいいんだからな」
何か、ちょっとじ～んと来ちゃった。

僕らしく、か。

よし、決めた！

告白、するぞ！