映画見て、ご飯食べて、んじゃサヨナラ~。
……なんて、寂しい事にはしたくない。
でも、何をするかある程度考えておかないと、
「これからどうする~?」
「どうしよっか?」
「ん~、どうしよう~」
「……決まらないから、帰ろうか……」
って事になりかねないじゃない??

それはダメだよね、かっこよくエスコートしなきゃヤバイでしょ?

「やっぱり、カラオケとかボーリングとかかなぁ?」
僕がぼそっと呟くと、秀悟が笑い出した。
「おまえって、ホント定番だよなぁ」
むっ。
しょうがないじゃんか。
デート経験ないんだから、思いつかないの!
「何かさ、デートマニュアルみたいのが載ってる雑誌とかあるじゃん? あぁいうのって読むヤツとかいるのかな…って思ってたんだけど、おまえなら読みそうだもんな~。しかも、一日の行動予定表とか作っちゃいそうじゃん? あっはは」

……毎晩、翌日話しかけるだけで作戦たててるなんて知ったら、秀悟なら笑い死にしそうだな…

「……別にいいじゃん…。マニュアル本は読んでないよ、まだ」

買おうかな~とか思ったけど。

「おまえ、別にカラオケうまくないから、カラオケはやめとけ」

身も蓋もないなあ、秀悟は。
確かにドヘタではないけど、うまくはない。歌で気持ちをアピール!
とかは僕だって考えてないやい。

「女ってさぁ、ウィンドーショッピングが好きなんだよな。何故か」
「ウィンドーショッピング?」
「そ。服とか、小物の雑貨屋、とか。見てまわんの」
「服かぁ……」

付き合ってるわけでもないのに、一緒に服屋とか見て回るのもどうなんだろ?
付き合ってたらさ、
「ねぇ水瀬くん、これなんかどうかなぁ?」
「あ、いいんじゃない? 似合いそう」
「そう? じゃぁちょっと試着してくるから、見てね」
「うん、待ってるよ」
なんちゃってさ、試着室から彼女が出てきてさ、
「どうかなぁ?」
「うん、いいよ、似合う似合う!」
とか言っちゃってさ!

相当僕はにやけてたんだろう。秀悟の薄気味悪そうな視線に気づいて、僕は現実に戻ってきた。

「…おまえ、考えが単純すぎ……」