秀悟が僕に気づき、眼があった瞬間、金縛りが解けるように、いつもの僕に戻った。
ずっと息を止めていたらしく、とたんにぜぇぜぇと息をする。
見ると、全身鳥肌が立っていた。

朝起きた時の、あのイヤな感じが突然起きたみたいだった。

「…どうした、伶? 大丈夫か?」
慌てて秀悟が走り寄ってきた。
よっぽど僕の様子が変だったのだろう。
周りに居る人も、振り返って僕を見ている。

僕は秀悟に話しかけようとして、また息苦しくなった。
秀悟を信用してはいけない、と強迫観念の様に思う。
でも、僕は、秀悟を信じてる。

「……変なこと聞くけど、秀悟って僕の、何?」
僕はまだ荒い息のまま、秀悟にそんな事を訪ねた。
秀悟は、ちょっとびっくりした顔をしたけど、即答する。
「友達だろ。俺としては親友のつもりだけど」

「…うん、僕も。……変な事聞いてごめん。もう大丈夫」

実を言うと、僕はその時、泣き出したいくらいだった。

嬉しくて。

こんな変なこと聞いて、変な態度の僕なのに、ちゃんと答えてくれてありがとう、秀悟。
うん、おまえはホントに、大事な友達だよ。
大親友だ。