「ん~、これかこっちか…。水瀬くん、どっちがいいと思う?」

大木みくるが指さしたのは、明日の土曜日公開の、新作映画2本だった。
実は、昨日僕も、この2本のどちらかが候補かな…と思っていたんだ。
でも、どっちも観たかったから、大木みくるが観たい方でいいや、と単純に考えてたんだ。

でも…。

「大木は?」
「どっちも面白そうで捨てがたくって。だから水瀬くんの観たい方でいいよ」

こ、この展開は予想外だぁ!

作戦になかった流れに、すぐに僕はパニックになる。
だって、別の意味で困った2択をせまられるとは…。

1。
「僕もどっちでもいいから、大木が決めてよ」

これは、僕はかなりの優柔不断なヤツだと思われてしまう。

おまけに、その選択を女の子に押しつける女々しい男だというレッテルまではられかねない。

やっぱ女の子なら、こういう場面ではビシッと決断して欲しいものじゃないの?

2。
「じゃぁ、こっち!」

と、かっこ良く一つを選ぶ。

まぁ、どっちも観たいから、今この場で適当に選んで決めてもいいんだけど…。

それが出来るくらいなら、昨日だって悩んだりしないって!

まして、選んだ映画がつまらなかったりしたら、僕はもう立つ瀬がないどころの話じゃないと思うんだ。