「おはよー」

朝食の支度をしてる母さんと、先にその朝食を食べていた兄さんに声をかけ、シャワーを浴びに風呂場に向かう。

熱い湯を浴びていたら、大分落ち着いてきた。

…それにしても、僕は一体、どんな夢を見ていたんだろう?

普段の生活に、そんな怖い夢を見る理由は思い至らない。

ごく普通の高校生。

そりゃぁ成績はそんなに良くはないけど、うなされるほど悪いとも思わない。
まだ2年生なんだし、受験で悩んでる訳でもない。

部活の野球だって、
「目指せ甲子園!」
って騒いではいるけど、しょせん無謀な夢…程度に、せっぱ詰まってる訳でもない。

いじめにあってるわけでもなく、友達も普通。

彼女はまだいないけど、ちょっといい感じになってる女の子だっている。


――ただの夢なんだから、気にしなきゃいいんだ。


そう、自分に強く言い聞かせてはみるものの、夢でこんな恐怖感を味わったのは初めてだったから、気になるんだ…