「私のこと、好き?」
「愛してる?」

女たちは必ずベッドでそう尋ねてくる。

愛、という感情がどういったものか判らないまま、俺は彼女たちの望むセリフを囁いてやる。
それで、彼女たちは満足するのだ。

言葉など、表面上でいくらでもあやつれるのに。
そう思う時、俺はシュウを思い出してしまうのだった。

たくさんの女たちとのつき合い。
感情のない、言葉だけのつき合い。
感情のない、身体だけのつき合い。

それで、俺は満足だった。

恋愛感情。

それは、俺からもっとも遠いものだった。

生涯、知ることのない感情だと思っていた。

…いっそのこと、知らないままでいられたら、どんなに楽だったのだろう。

俺が、今ここにいることもなかったに違いない。