「大木、あのさ」
自然を装って、大木みくるに話しかける。
「あ、水瀬くん。なに?」

うう、いい笑顔でこたえてくれるねぇ。
って、オヤジか!僕は。

「昨日言ってた…」
「あ、ラベンダーの? 持ってきたよ、もちろん!」
そのままカバンから取り出そうとする。

いやいやいやいや、それでは困る、困るのだよ!
それじゃぁここで終わっちゃうじゃん!
昨日の僕の苦労が報われないじゃんっ!!

「あ、つ、使い方とか判らないしさ、その話もちょっと聞きたいし、昼休み、一緒にご飯食べない?」
「え…」

あ、ヤバイ、こ、困ってるっぽい。

「あ、えと、二人でってことじゃなくってさっ」

フォロー、フォローだ僕!!

「秀悟も一緒にどうかな? 大木が一緒に昼飯食べてる日高って秀悟の彼女じゃない? たまには一緒でもどうかなあぁ…なんてさ…」

一気にまくしたてた。

休み時間が終わりに近づく。

き、緊張するよぅ、早く返事してくれえぇぇ!