「お、目が覚めたか! 大丈夫だったか!?」
大声でそう言いながら保健室に入ってきたのは、監督だった。
側に、保健室の先生もいる。
「あ、はい、ご心配おかけしました」
僕はそう言って頭を下げた。
「いきなり部室で倒れたっていうから、心配したぞ。…二日もブランクがあったのに、かなりハードなメニューをこなさせたからなぁ……。いや、悪かったな、水瀬」
監督は、そう言うと、「すまん」と頭を下げる。
「ええ!? や、やめてくださいよ、監督!」
僕は慌ててしまう。
「別に監督のせいじゃないです!」
「だが、きつかったんだろう? 水瀬の様子に気付かなかったのは、わしの責任だしな…」
監督は、なんだか妙に落ち込んでしまっている。

そっか、そうだよね。

うちの部活は、毎日練習もしてるし、練習時間が長い日もある。
それでも、今まで誰も倒れたりしたことがなかった。
それは、監督がみんなの様子をきちんと観察して、ムリのないメニューで練習をしてくれていたからだったんだ。

それなのに、今日僕が倒れたりしたから…。
監督、責任を感じちゃってるんだ。

僕は、監督に申し訳なくなってしまった。