夕飯時もニヤけたままの僕に、何があったのか家族は誰も怖くて聞けなかったようだった。
意を決したように、兄さんが
「伶、彼女でも出来たのか?」
と聞くので、僕は、ものすごぉく冷静を装い、何でもないことかのように
「うん、そうだよ」
と、軽く答えた。

…めずらしく一緒に夕飯を食べていた父さんや、ちろちろ僕の方を見ていた母さんまでが、下を向いて笑いをこらえていたのに、僕は気付かなかった。
後から、兄さんが笑いながら教えてくれたんだ。

…ホント、僕って隠し事に向かない性格だよね…。
絶対しないけど、もし浮気とかしたら、その場でバレそう。
いや、絶対、しないけどね!

僕の幸福感は家族中に広まったみたいで、夕飯はものすごく楽しい時間だった。