十三日間

十字架の形のペンダントトップ。
蔓のような模様がそれに巻き付き、十字の真ん中に、丸い石が嵌め込まれている。

「これ、天然石なんだって。ほら、色違いがいろいろあるの」
僕のヘンな様子には気付かないで、みくるちゃんが説明をしてくれる。
彼女が手にしているのは、ピンクっぽい色の石のと、青っぽい色の石のだった。
色違いの、ペアネックレス。
この店でも、カップルでお揃いに…みたいなうたい文句で、人気があるみたいだ。
石の色はいろいろあるけど、みくるちゃんが僕に選んでくれたのは、ラベンダーの色に近い碧い石だった。

「見てもいい?」
僕はそう言うと、彼女の手から、そのネックレスを受け取った。
デザイン的には、男がしててもおかしくない。
みくるちゃんは、きっと一生懸命探してくれたんだろう。

僕は、それはすごく嬉しかった。

でも、どうしてこのネックレスを見ると、何かを思い出しそうになるんだろう?

「やっぱり、ダメ…かな…?」

僕の様子がおかしかったんだろう。
みくるちゃんが悲しそうにそう言った。

もう、いいや!
ヘンな事は、忘れるっ!
考えないようにするっ!