僕が頭を抱え込んだのを見て、大木みくるが慰めるように声をかける。
「水瀬くん、実は結構もてるんだよ…。でも、本人が気付かないし、女の子にまだ興味がないのかと思って、みんな告白とかしてなかったみたい」
そんな事、好きな女の子に慰められる僕って……。
「でも、好きな子がいるって言ったらしいし…」
ふぅ、と大木みくるがため息をつく。

こんな話、最初にしちゃうなんて、僕はどうすればいいんだよぉ?
これ、帰りがけにこんな話になってたら、流れで
「僕が好きな子って、君なんだぁあ!」
って告白できたじゃないかあ!

僕は別の意味で悲しくなって、また頭を抱え込みそうになる。

「だから、玉砕覚悟で言ってもいいかな?」

ん?
ごめん、まだ大木みくるの話は続いてたのか。
ちゃんと聞かなきゃっ。

「あたし、水瀬くんが好きなんだ。付き合ってくれない?」

………………………………………………

って、

え、

ええええええええええええっっっ??

「ええええええええええっっっっ?」

どうやら、心の声だけじゃなく、絶叫したらしい。
今度は周りの人達だけじゃなく、映画館中の人から注目された。
謝る余裕もなしっ!

「え? ええ? 好きって?」

告白されて、パニックを起こす時点で、ヤバイでしょう、僕。

ていうか、何で告白されてるの?

今日、僕が告白する予定だったのに?

ていうか、大木みくるが僕を好き?

……支離滅裂になってるぞ、僕。
落ち着け、落ち着くんだ!

とりあえず深呼吸をする。

おちつけ~おちつけ~おちつけ~……