一回目の上演だったので、30分以上前に映画館が開き、席を取りになだれ込めた。
人の波をかいくぐり、予約席の真後ろの真ん中。
かなりいい席をGETできた。

やるじゃん、僕!

「良かったぁ! 見やすそうな席が取れて良かったね!」
大木みくるも満足そうだ。

出足は好調!

「まだまだ時間もあるし、何か飲み物でも買いに行こうか?」
席に荷物を置いて場所を取り、もう一度ロビーの方に出る。
「あたし、パンフレット買いたいな」
大木みくるは、席を離れながらそう言った。
「映画観る時、いつも買っちゃうの。後でじっくり読んで、余韻に浸るの好きなんだ」
にこっと笑いながら売店に向かう。
パンフレットかぁ…。僕は買ったことなかったけど、今日は記念に買おうかな?
「後で一緒に読もうね!」
大木みくるに言われたので、速攻買うのをやめる。
一緒に、1冊のパンフレットをのぞき込んで見る楽しみがなくなっちゃうもんね。

大木みくるがパンフレットを買う間、何か飲み物を買おうと、僕はうろうろしてた。
ついでに、映画と言えば定番のポップコーンとかも買うべきかな?
ベタすぎ?

くだらない事で悩んでいたら、大木みくるが戻ってきてしまった。
「あたし、お茶も買ってくるね。映画のお礼に水瀬くんのも買うけど、何がいい?」
…どうして大木みくるは、さらっと気の利いた事を言えるんだろうなぁ?
僕も見習わなきゃ……。

って、そうじゃないだろ、僕!

「いいよ、自分で買うよ。映画はラベンダーのお礼なんだし」
僕はそう言うと、自分の飲み物を買い、ついでにポップコーンも買った。
僕は普通の塩味が好きなんだけど、大木みくると一緒なので、キャラメル味とやらのポップコーンにする。
「一緒に食べよう?」
買ったポップコーンを手に、ちょっとカッコつけて言ってみる。
決まった??

「うん、ありがとっ」
大木みくるが笑顔で応えてくれたから、多分おっけーだったと思う!