今朝の声は、泣き声だったせいか、母さんや兄さんには聞こえていなかったようだ。
「おはよう」
と、声をかけると、二人とも明るく
「おはよう」
と返してくれた。

何気ない朝の挨拶。

なんだか、僕にとっては、それすら幸せを感じるようなひとときだった。

やはり寝汗はひどかったし、かなり泣いたので顔もぐしゃぐしゃだった。
今日はせっかくの、大木みくるとの映画の日。
いつもより念入りにシャワーを浴び、顔を整える。

鏡を凝視すると、泣いた後なので目が少し腫れていた。
顔だけ冷たい水をしばらく浴び続け、ようやく腫れはひいてきた。

これで、大丈夫。
僕は、今日一日を楽しむんだ!

自分に言い聞かせ、僕は支度をしに部屋に戻った。