俺は、知っている。
ああいう表情は、何かを企んでいる顔だ。

『シュウ』である、という点を覗いて、おれは今目の前にいる人物をよく観察してみた。
『友』という色眼鏡で見ているから、真実が見えてこないのだ。

そうして、俺は全ての真実を悟ってしまったのだ。

野次馬達に聞こえないように、シュウに詰め寄る。
「……仕組んだな……」
俺の迫力に、シュウは少したじろいだ。
「な、何の事だ？」
「とぼけるな…っ」
胸ぐらを掴み、俺は口調だけは静かに言い募った。
「…何故、こんな裏切りを…？」
俺は、初めて友を持ったと思っていたのに。
信頼していたのに。

悔しさがこみ上げてくる。

俺は、こんなヤツを友だと思っていたのか。
そんなに、俺に見る眼はなかったのか。

俺は、周りを取り囲んでる連中を一喝した。

「出ていけ！　二人で話をする！」

俺がシュウに危害を加えないか、危惧して側にいた連中も、俺の迫力に負けてその場を離れた。

そこには、俺とシュウの二人だけが残されていた。