恋人という名のゲーム


「久我くん、今日は本当にありがとう」

久我くんはおもむろにこちらを振り返った。


「今日の企画展、来れて本当に嬉しかった。久我くんが連れてきてくれなかったら、諦めてたと思うから。だから、ありがとう」

口元に笑みを浮かべた久我くんは、キスするみたいにその綺麗な顔を私に近づけた。
私がかすかに顔を逸らせると、私の髪を耳にかけて唇を寄せた。



「そろそろ、俺のこと好きになってくれた?」

からかうような声。
驚いて久我くんを見上げて、ぞくっとした。


彼の目は、笑っていなかった。怖い、と思った。