海の見えるカフェはおしゃれで、オムライスはおいしかった。
七割以上が女性客のカフェの中でも、久我くんはまったく浮かなかった。整った容姿と、スマートな物腰に、ある意味注目を集めてはいたけれど。
食事をしてから、久我くんは海のほうへ車を走らせた。海岸にはおりずに、少し離れたところに車を止める。
車をおりるとガードレールの向こうに海が広がっていて、潮のにおいがした。
「下、行く?」
隣に立った久我くんに、私は首を横に振る。
「うまく歩けなさそうだからいいや。珍しくヒールだし」
「そうだと思った」
馬鹿にするでもなく、久我くんは軽く笑った。
もともとそのつもりで、近くには止めなかったみたいだ。

