恋人という名のゲーム

いつものようにからかわれるのかと思ったのに、ふわりと頭をなでられてどきどきしてしまう。


なんだか言葉がでてこなくて、久我くんを見つめたまま動けずにいると、久我くんの笑みが揶揄するようなものに変わった。

頭をなでていた手がすべり、私の髪をすくように後頭部に動いた。すっと久我くんの顔が近づいてきて私の耳元に寄せられた。



「俺にときめいてくれた?」

くすりと笑った気配に抗議をしようとすると、その隙を与えずに久我くんは私の手をとって歩き出してしまった。


「さ、行こう」

強引な久我くんの手が妙にあたたかく感じられて、何も言えなくなってしまった。