「美咲、何食べたい?」

「…うどんか、生春巻き」

自分でも統一感のない二択だと思う。自分の気持ちに正直に答えると、久我くんは小さく笑った。


「俺、パクチー食べられないから、うどんでいい?」

「うん」

久我くんにも苦手なものがあるんだな、と思うと、少しおかしい。性格に難なりだけど、弱みなんてなさそうに見えるからだ。



「ねえ、久我くん? 土曜日、どこに行くんですか?」

「内緒。もう、決めてるんだけど」

いたずらっぽく微笑む久我くんは、少しも教えてくれる気がなさそうだった。