家庭科室の甘い味

私はさっきまで拗ねていた事に触れずに


「じゃ、ご飯作るね?拓真、キッチン借りていい?」


「うん」


私は拓真にキッチンへ案内して貰う。


「俺、着替えてくるね」


拓真はそう言うとリビングを出て行く。


私は一人、キッチンでスーパーの袋から食材を出した。


今日のメニューは、“肉じゃが”と“オクラのわさび醤油和え”と“白ネギとお豆腐のお味噌汁”だ。


私がじゃがいもの皮をむき、食べやすいサイズに切っていると


「何か手伝う事ある?」


ロンTにネルシャツ、ジーンズに着替えた拓真が、私の肩越しに覗き込んできた。


私は、じゃがいもを切っている手を休め


「ううん、大丈夫。拓真は座って待ってて?」


そう言って、またじゃがいもを切り出す。