家庭科室の甘い味

「じゃぁ、どこに行こうか?」


拓真はにこにこと嬉しそうに聞く。


っていうか…


今、拓真、親いないって言ってたよね?


それじゃぁ……


「……拓真の家、行ってもいい?」


私の言葉を聞いた拓真はすごく驚いている。


「えっ?家、誰もいないんだよ?」


「うん、ダメ?」


「いやぁ、ダメってわけじゃないんだけど……」


拓真はなぜか落ち着きがなくなっている。


お昼休みに茜と話していて、お弁当を作るのもいいなって思っていた。


だけど、それを拓真の部活中に持って行くのが、なんか恥ずかしい。


だから、その日、拓真のご両親がいないのなら、ご飯を作ってあげる事が出来る。


それに、拓真は部活で疲れているだろう。


だから、家ならゆっくりできるかな?って。