家庭科室の甘い味

「あっ、ごめんなさい」


「えっ?何が?」


いきなり私が謝ったから、長谷部先輩はきょとんとしていた。


「えっと……、勝手に見ようとして」


私が本棚の近くにいた事に気付き


「あぁ、いいよ。っていうか、ほとんど漫画ばっかりだよ?」


長谷部先輩は笑いながらテーブルにお盆を置き、座る。


そして、隣をポンポンッと叩いて


「こっちにおいで」


私は長谷部先輩の隣にちょこんと座る。


そして、


「はい、ケーキ」


さっき作って、ラップに包んだロールケーキを出す。


「あの……、可愛くラッピング出来なくてごめんなさい」


私はてっきり、家庭科室で食べるんだと思っていたから、ラッピングなんて用意していなかった。