家庭科室の甘い味

あれ?先輩は?


こうやって部活が休みの日は、はるかと一緒に待っている。


そして、長谷部先輩は拓ちゃんと一緒にいつも迎えに来てくれる。


私がずっと扉の方を見ていると


「茜先輩。部長、下駄箱で待ってるって」


そう拓ちゃんが教えてくれる。


「ありがとう」


私は急いで帰る支度をし、下駄箱に向かう。


そして、長谷部先輩は、初めて一緒に帰ったあの日のように、昇降口の所に立っていた。


私は急いで靴を履き変え


「先輩、お疲れ様です」


その声に長谷部先輩は振り返り


「待たせてごめんね」


「大丈夫です。はるかとケーキ作っていたから」


そう言うと


「ホントだ。甘い匂いがする」


長谷部先輩は私の首元に顔を近付けて、クンクン、と匂いを嗅ぐ。