家庭科室の甘い味

―帰り道―


私達は無言のまま歩く。


長谷部先輩の隣で歩いている。


それだけで、私の心臓はすごくドキドキしている。


せっかくのチャンス。


ちゃんと気持ちを伝えなきゃ。


ちゃんと伝えないと、今までみたいに、見ているだけになっちゃう。


「あの……、先輩?」


私は勇気を出して、沈黙を破った。


「ん?どうした?」


長谷部先輩はすごく、すごく優しい顔で私を見る。


「あの……。私、先輩の事が好きです。
えっと……、受験の邪魔、しないから、私と付き合って下さい」


私は視線をそらさず、長谷部先輩の目を見て言った。


そして、長谷部先輩は……


すごく驚いていた。


そりゃそうだよね。


あんまり喋った事のない後輩。


そんな子からの告白。


そりゃぁ、びっくりするよね。