家庭科室の甘い味

「あっ、あの……」


「なぁ……」


長谷部先輩と私の言葉がかぶる。


「あっ……、お先にどうぞ」


「今日も一緒に帰らないか?」


……えっ!?


私はその言葉にびっくりし、長谷部先輩の顔を見て固まる。


だって昨日の事は、たまたま、だって思っていたから。


でも、私の返事はもちろん


「はい」


だって、私も今、長谷部先輩を誘おうと思っていたのだから。


「よかった。茜ちゃんは何を言おうとしたの?」


長谷部先輩は笑顔で聞いた。


「あっ、私も先輩と一緒に帰れたらなって……」


後片付けをしながら、そう答える。


「そっか…。俺も手伝うよ」


長谷部先輩はどこか照れたような表情をしながら、後片付けを手伝ってくれる。


そして、はるかに長谷部先輩と帰る事を伝え、長谷部先輩と一緒に家庭科室を出た。