「茜ちゃん、食べている時、すごく幸せそうな顔するもんな」


「えっ?」


長谷部先輩の言葉に驚き、逸らしていた視線を戻す。


すると、長谷部先輩は優しい表情で私を見ていた。


先輩に見られている。


先輩が私だけを見てくれている……


そんな状況に、私の体温は上がり、心臓も長谷部先輩に聞こえるんじゃないかってくらい煩く動く。


そして、固まってしまっていた私は、しばらく長谷部先輩と見つめ合っていた。


「そんな目で見つめないで」


少しの間、黙ったまま見つめ合っていた私達。


長谷部先輩の言葉に私は我に返る。


「すっ、すみません」


私はまた、パッと目を逸らす。


長谷部先輩に「そんな目」と言われて、“どんな目”なのか、わからなかったけど、私は謝る。