「いや、謝らなくていいんだけどさ。
あのさ、茜ちゃんって、いつもはるかちゃんの手伝いばっかりしてるだろ?だから、茜ちゃんは作ったりしないのかな?って思ったんだ」


そう言いながら、長谷部先輩は私を見ている。


「えっと……。私、作るの苦手なんで……」


今まで、会話らしい会話をした事がない。


私はすごく緊張しながら答える。


「えっ?じゃぁ、なんで入ったの?……もしかして、雨宮目当て……とか?」


へっ?雨宮?


そりゃそうか。


料理が苦手な私が料理部に入るなんて、そう思われても仕方がない。


だって、今いる料理部のほとんどが雨宮目当てなんだから。


でも、雨宮目当てじゃない私。


って事はちゃんと否定しないと誤解される。