家庭科室の甘い味

長谷部先輩と二人きり。


一緒に帰っている。


夢みたい……


「――…の?」


いや、


きっと、これは夢だ!


夢に違いないっ!!


「――…ちゃん?おーい。茜ちゃん?」


私の顔の前で、掌が揺れている。


……ん?


……っ!?


「えっ、あっ……、はいっ!!」


長谷部先輩が私の顔を覗き込んでいたらしく。


長谷部先輩の顔が近くにあって、私は慌てた。


「あははっ!そんなに驚かなくても。もしかして、聞いてなかった、とか?」


長谷部先輩は覗き込んだまま聞く。


「えっ……、あっ、はい…。すみません」


私はボーッとしていた事が恥ずかしくなり俯く。