こんな風に部屋の中に二人きりでいるなんて初めてだ。


だから余計に、私はドキドキしていた。


「あっ、先輩。口……」


口?


拓真の言いたい事がわからず、拓真を見る。


すると、拓真は指で私の口元に触れ


「生クリームついてるよ」


口元に触れたその指で生クリームを取る。


そして、その指をペロッと舐める。


「甘いけど、おいしい」


拓真はにこっと笑う。


今、拓真に触れられただけなのに、聞こえるんじゃないかってくらいドキドキしていた。


ケーキを食べ終わり、満足気な拓真に


「ねぇ、拓真ぁ……」


私は拓真の制服の袖を引っ張る。


「どうしたの?」


いつもと様子の違う私を不思議そうに見ている。