家庭科室の甘い味

「ふっ……、バカ」


拓真の笑顔に、私も自然と笑顔になる。


「ねぇ、先輩。だから、俺と付き合って」


拓真の言葉に


「うん」


私は頷いた。


「やったぁー!」


拓真は嬉しそうに私を抱きしめる。


なんか、拓真のこういう素直に感情を出す所、かわいいって思うんだよな。


拓真の腕の中で、そんな事を考えていると


「あっ、遅くなっちゃうから帰ろう」


私を抱きしめる腕の力を緩め、私の鞄を持つ。


「先輩、手、繋いでいい?」


ベンチから立った拓真は私を見下ろし、手を差し出す。


「うん」


私は拓真の手を取り、歩き出す。