家庭科室の甘い味

「じゃぁ、今日は食べなかったの?」


拓真にドキドキがバレないように、普通なフリをして聞く。


「うん、断ったよ」


そうだったんだ。


正直、私は嬉しかった。


なら、もっと残しておけばよかったかな?


私はパンを食べている拓真を見ながら、そう思った。


パンを食べ終えた拓真。


私を真剣な表情でじっと見つめ


「ねぇ、はるか先輩……。俺の事、嫌い?」


何?急に……


「嫌いじゃないよ?」


拓真を嫌いだなんて一度も思った事はない。


「じゃぁ、好き?」


好きか嫌いかだったら、好きなんだろうけど……


それは拓真の言う好きの意味と違う事くらいわかる。