―帰り道―


「ねっ、拓真。何、お願いしたの?」


私は拓真と手を繋ぎながら歩く。


「内緒!」


拓真は私の顔を笑顔で見る。


出会った頃……


ちょうど高校に入学した頃の拓真は本当に“可愛い”って感じの男の子だった。


それに付き合いはじめた頃は、身長も同じくらいだった。


だけど今は、身長は拓真の方が高くなって、私はいつも拓真を少し見上げている。


それに顔付きも、“男のコ”から“男の人”に変わってきた。


それでも笑うと“可愛い弟”だったんだけど。


最近は笑った顔もドキッとするくらい大人びてきている。


そんな拓真の笑顔に私の顔は赤くなり、すごくドキドキしていた。


「だって、願い事って“言ったら叶わない”って言うでしょ?だから内緒」


拓真はにこっと笑う。


拓真の願い事はわからないけど、でも、私と同じだったらいいな。