家庭科室の甘い味

……私も帰ろう。


その前に、この状況なんとかしなきゃ。


拓真は雨宮くんの事をじっと見ていた。


「雨宮くん、ごめん。拓真と帰るね」


パンもあげたいし。


「そっか……。じゃぁ、また明日な」


雨宮くんは寂しげな表情をし、家庭科室を出て行く。


「はるか先輩、もう帰れる?」


「うん」


「じゃぁ、帰ろう!」


拓真は嬉しそうに私の鞄を持つ。


「自分で持つよ」


「いいの!俺が先輩の鞄持ったら、先輩は絶対俺と帰らなきゃ、でしょ?」


そこまでしなくても、一緒に帰るのに……