家庭科室の甘い味

そう、別に怒っているわけではない。


ただ、自分にムカついただけ。


“こんな時間に外で待たせていたら危ない”


わかっていたのに。


茜ちゃんに、怖い思いをさせたんじゃないかって。


それに、茜ちゃんが絡まれているっていうのに、助けられなかったって事にも腹が立つ。


自分にムカつきながら歩いていると、いつの間にか茜ちゃんの家の前に着いていた。


そして帰り際、玄関の所で


「もう、差し入れ持って来なくていいから」


俺は、そう言い放つ。


だって、また今日みたいに誰かに声を掛けられるかもしれない。


いや、声を掛けられるだけじゃなく今日よりももっと危ない目に合うかもしれない。


そんな目に茜ちゃんを合わせたくない。